一緒にゴールイメージを描く、SE特化型のファッションコンサルタント

システムエンジニア(SE)は、業務時間のほとんどがPCと向き合う時間で、他者との面会もあまりない職業。
つまり、仕事をする上では、ファッションのことをさほど気にしなくてもよい。
だからこそ、ファッションについて悩みを抱えるSEが少なくないのだ。

そんなSEの強い味方が、ファッションコンサルタントの杉本祐亮である。
SEに特化した独自のファッションコンサルティングを展開しており、杉本自身もSEであることから、「同じ目線で寄り添ってくれる」と好評を博している。

杉本に舞い込むオーダーは、実にさまざまだ。
「何から手を付ければいいかわからない」という抽象的なものや、「取引先から良い印象を持ってもらいたい」「結婚式で着るものを一緒に探してほしい」という目的が明確なものなど、一つとして同じものはない。
中には、「モテたい!」という純粋な想いを持ち訪ねる人も少なくない。
そんな一人ひとり違ったオーダーに対し、杉本が意識するのは、「ファッションを変える目的」である。

「ファッションはあくまで手段で、その先に達成したいものがあるはずです。まず目的を明確にして、一緒にゴールを具体的に描くことを心がけています。ファッションが変わった自分をイメージすることで、目的を達成する自分をイメージしやすくなる。そうやって、ファッションをきっかけにワクワクを与えられる存在になっていきたいですね」

現在、お客様のほとんどは紹介によるもの。
すでにコンサルティングを受講したお客様が新たなお客様を連れてきたり、招待された飲み会で直々にオファーされたりと、人から人へと杉本の名が拡がっているのだ。
その裏付けに、定期開催しているファッション講座がある。
服の着方はもちろんのこと、ビジネスファッションの基礎、印象をグッと良くするアイテムの使い方など、杉本が意識していることを多方面から伝えている。
さらに、その人に似合うカラー診断や、ときには買い物へ同行するなど、「納得してもらった上でファッションを決める」姿勢がお客様の満足度につながっているのだ。

ファッションコンサルタントとして嬉しい瞬間は、お客様からの「変化」の声を聞いたときだと言う。
「人と接することが楽しくなった」「スーツが作業服ではなく勝負服になった」「スーツやお洒落な服を着ている自分が好きになった」など、外見とともに内面の変化までも引き起こすのが杉本のコンサルティングだ。
杉本は、その変化をもたらすことを使命としている。

「ある方が、転職活動がうまくいかないと悩んでいたことがありました。一度お会いして話してみると、確かに自信がなさそうに振る舞っていたんです。そこで、話し方のレクチャーとともに、ファッションをガラリと変えることにしました。すると、それまで面接にほとんど落ちていたのが、それ以降次々と受かって、今では満足の行く環境で働いています。そのように、自信をつけて変わっていく姿を見るのが何よりの幸せです」

自分が変われば、周囲の視線も変わる

今でこそ、縁を大切にし、他者の人生にコミットする杉本だが、青春時代はまったく違っていた。
「人と話せば嫌われる」と、他者との関わりを拒絶していたほどだ。
だが、現在までの杉本自身の変化が、生き方の軸を形成している。

幼少期はRPGゲームや工作に熱中し、一人で遊ぶことが好きな内気な少年だった。そのためか、友達もさほど多くなく、中学校に入ると周囲の反応が良いものではなくなってきた。

あるとき、失態をおかしたことが学年中に広まり、指を指されて笑われるように。
それ以降、また野次られるのではないかと恐れ、人付き合いそのものが怖くなっていったという。
また、「裕福ではない家庭で育ててくれた母親へ恩返ししなきゃ」と勉強に力を入れ始めると、周囲からは「ガリ勉」とバカにされ始めた。
「いい大学へ行けば、こんな思いはしなくて済む」と勉学に拍車がかかり、益々周囲との溝は深まっていく。
面と向かって「キモい」と言われたり、消臭スプレーをかけられたりと、文字通り煙たがられる存在になってしまっていた。

そして自分自身も他者と接することに嫌気がさしてきたのだ。

そんな、他者を拒絶する10代を過ごした杉本に、転機が訪れる。
大学入学時からやっていた塾講師のアルバイトでも生徒との距離を縮められず、学業を理由にアルバイトを辞めることに。
そんな人付き合いに苦労する姿を見守っていた当時の塾長からの一言から、杉本の人生は確実に動き始めた。

「『辞めるのはいいけど、ただ辞めても何も変わらないから、何か新しいことを始めてみたら?』と言ってくれたんです。僕自身も、人付き合いがうまくできない自分に嫌気がさしていて、その気持ちを塾長に見透かされていたのだと思います。『社会に出ても必ず人と関わるんだし、今までやらなかったこと、目を背けていたことにチャレンジしてもいいんじゃない?』と言っていただき、自分を変えようという気持ちを持つことができました」

それ以降の杉本の変化は早かった。
入学してから時間もたちサークルに所属するタイミングはない、バイトする時間はない杉本がまず着手したのが、見た目を変えること。
当時かけていた眼鏡を外して学校へ行くと、「誰こいつ?」と自分で言ってしまうほどの変化が生まれた。
暗い印象だった顔立ちが、今までにないほど明るい印象へと変化したのだ。
その勢いで、次はサイズ違いの服を着るのを辞め、塾講師時代に貯めたお金で初めて自分でスキニーデニムを購入。
当時は不恰好な服を着ていたため、華奢で弱々しいと思っていた自分の体型が、スリムな体型へと認識が変わったのだ。
今まで鏡で見ていた自分とは違う姿を目の当りにし、「俺って変われるんだ」と自信を持てるようになったのだ。

すると、人と接することへも意欲が生まれた。サークルに所属してみたり、インターネット回線契約やスナックのスタッフなど接客業のバイトをしたりと、人との関わりを積極に持つように。
ファッションが変われば行動が変わる」――このことを、杉本自身が実感した大学時代だった。

自分自身を救ってくれたのは、人の「縁」

社会人になり、会社員SEを経てフリーランスSEとして幅を広げていた。
その一方で、「自分が100%熱中できるものを始めたい」という想いから、新たな活動を画策。
答えはすぐに出た。
自分自身を変えてくれたファッションに関する事業を立ち上げることだった。

ファッションの変化が人生に劇的な変化をもたらすことを体現していた杉本は、その過程を伝えるべく講座を開催。
地道に講座を続けていくと、新宿マルイメンから声がかかり、ワークショップを開催するまでに拡大。
その過程で、「昔の自分のように、変わりたいがいるんじゃないか」「自分と同じ境遇にいる人に共感してもらえるんじゃないか」と気づき、SE特化型のファッションコンサルタントが誕生したのだ。

講座受講者や個別のコンサルティング受講者含め、述べ1000人近くのファッションに携わってきた杉本。順風満帆に見えるファッションコンサルタント人生だが、一度だけ自身の道を疑った出来事があった。そして、その苦悩を乗り越えられたのは、それまで築いてきた「縁」があったからだ。

「とある媒体に記事を掲載させてもらったんですが、それが炎上してしまったんです。『お前の言ってることは間違っている』『見当違いだ』『ファッションなんて気を使う必要なんてないだろ』など、かなりキツい言葉を多くかけられ、正直自分の仕事に自信を失っていました。自信を持って伝えられないから『講座がキャンセルになるといいな』とか、『そもそもこのビジネスに意味はあるんだろうか』など、かなり弱気になってしまって。そんなとき、心の支えになったのが、僕を求めてくれたお客様の姿でした。顔も知らない人にネット越しに言われているだけで、お客様には確実に想いは伝わっている。そう気付いて自信を取り戻し、より自分のやり方に誇りを持てるようになりました」

ブランドを、お客様とともに成長させていきたい

ファッションコンサルタントを始めて一番変わったことは、「おもてなし」だと杉本は語る。10代の頃の殻に閉じこもっていた自分が、他者の人生のために全力を尽くしている。喜んでくれる人がいるからこそ、自分は生きていられる。たった一人で事業を開始し、人の「縁」によってその事実に気付いたからこそ、「人が喜ぶことは何でもやりたい」と心から思っているのだ。

杉本は、ある構想を持っている。それは、ファッション講座およびコンサルティングの日本全国への展開だ。「ファッションが変われば行動が変わる。そして人生が変わる」。この事実に東京も地方も関係ない。全国に自信を持って行動できる人を増やしていくのだ。「目的があって初めてファッションがある」という軸をブラさず、日本全国の人たちを輝かせるファッションコンサルティングを展開していこうという考えだ。

YS.works』。これは、杉本が自身の活動に冠するブランド名だ。YS=は杉本祐亮[自身のイニシャル]、worksは「作品」。杉本の生き方そのものが、世の中に作品として残っていく。そんな意味をこめている。また、このYS.worksは、ファッションだけを指しているわけではなく、杉本一人で完成させたいものでもない。杉本を求めてくれるお客様とともに、ファッションを飛び越えて自分自身を愛せる空間を築いていく。それこそが、YS.worksが目指す姿なのだ。

「お客様の存在なくして、この事業は成り立ちません。お客様がこのYS.worksを作り上げてくれました。だから、YS.worksは僕一人だけで完成させてはいけないんです。僕はファッションを得意としていますが、それぞれ得意なものを持っています。それを集結して、最高の空間を作り上げていきたいと考えています。YS.worksをみなさんと一緒に作り上げ、みなさんから愛されるブランドに育てていきたいです